Claude Code でできることとできないこと。任せる前の地図
Claude Code を使い始めるとき、最初に気になるのは「結局、何ができるの?」という点です。この記事では Claude Code が得意な仕事と苦手な仕事を、具体的な例とともに地図のように整理します。
はじめに
前の記事では Claude Code の正体——ターミナルから使う、自分で手を動かしてくれるAI——をお伝えしました。続けて気になるのは「で、実際に自分の仕事で何ができるの?」という点だと思います。
私自身、最初のころは「とにかく何でもやってくれる便利なやつ」くらいの曖昧な認識で使っていました。すると、得意なことを頼めば気持ちよく動いてくれるのに、苦手なことを頼んだときに変な答えが返ってきて「あれ、思ったのと違う」と感じることが何度かありました。得意・不得意の地図を持っていなかったからです。
この記事では、Claude Code に任せられる仕事の範囲を整理します。コードを書く仕事だけでなく、Excel ファイルの一括編集、テキストの整形、画像ファイルの名前変換まで、入門段階で知っておきたい例を幅広く取り上げます。読み終わるころには「自分のあの作業、たぶんいける/たぶん厳しい」が直感で判断できるようになるはずです。
この記事は Step 1「Claude Code を知る」入門シリーズの2本目です。
全体の地図:得意な仕事と苦手な仕事
最初に結論からお伝えします。Claude Code が得意な仕事と苦手な仕事は、ざっくりこう分かれます。
| 得意な仕事(任せて大丈夫) | 苦手な仕事(自分でやった方が早い) |
|---|---|
| 文字(テキスト)でやり取りできる仕事 | 見た目・デザインの「良し悪し」の判断 |
| 手順や正解の形が言葉で説明できる仕事 | マウス操作が必要な GUI 上の作業 |
| ファイルを読んで・書き換えて・保存する一連の作業 | 言葉になっていない暗黙の要望をくみ取る仕事 |
| コマンドを使って何かを実行する仕事 | 何を作るべきかゼロから決める仕事 |
この軸を頭に置いてから、それぞれを具体例で見ていきます。
できること① 既存ファイルの編集・整理
一番イメージしやすいのが、すでにあるファイルを開いて中身を整える作業です。
- コードファイル:HTML / CSS / JavaScript / TypeScript / Python など、いわゆるソースコード全般
- 設定ファイル:JSON / YAML /
.envなどの設定ファイル - テキスト系ファイル:Markdown / プレーンテキスト / CSV
- ドキュメント:原稿の表記ゆれ統一、見出しの整形、改行ルールの一括修正
例えばこんな依頼ができます。
「
/articlesフォルダの中の Markdown ファイルを全部開いて、見出しが##で始まっていない記事を##から始まる形に直して」
すると Claude Code は対象フォルダのファイルを順に開き、該当する記事を見つけ、書き換え、保存するところまで自分で進めてくれます。手作業でやると数十分かかるような確認・修正作業が、数秒〜数分で片付きます。
できること② 複数ファイルの一括操作
地味ですが、もっとも恩恵を感じやすいのがこの領域です。
- ファイル名の一括変換:「
IMG_1234.jpgのような名前のファイルを2026-04-photo-001.jpgの形式に揃えて」 - 検索と置換:「全ファイルを横断して
oldFunctionNameをnewFunctionNameに置換して」 - フォルダ整理:「PNG だけを
images/フォルダに移動して」
これらは「言葉で正確に指示できて、結果も目で確認できる」典型的な仕事です。Claude Code の強みがそのまま発揮されます。
私の場合、サイトの画像ファイル100枚以上のリネーム作業を頼んだことがあります。手でやれば1時間はかかる作業ですが、ルールを言葉で伝えただけで数十秒で終わりました。最初は「本当に全部直っているか?」と疑って一つずつ確認しましたが、ルール通りに動く仕事ほど、Claude Code はミスをしません。
できること③ コマンドを実行する仕事
Claude Code はファイルを編集するだけでなく、ターミナルからコマンドを叩いて何かを実行することもできます。これがとても大きい違いです。
代表的な例はこんな具合です。
npm run buildのようなビルドコマンドを自分で実行する- Git の操作(コミット・ブランチ作成・差分確認)を代わりにやる
- パッケージのインストールやアップデート
- スクリプトを書いて、それを実行する
最後の「スクリプトを書いて実行する」は、Claude Code の真骨頂です。例えば次のような場面で活躍します。
Excel ファイルの一括編集
「Excel のファイルって編集できるの?」とよく聞かれますが、答えは Yes、ただし方法は少し回り道 です。
Excel ファイル(.xlsx)は中身が複雑な形式で、Claude Code がそのまま開いて書き換える機能は持っていません。代わりに、Excel を操作する Python スクリプトを Claude Code が書いて、それを実行するという二段構えで処理します。
具体例:
「
売上データ.xlsxの “金額” 列の数字を全部1.1倍にして、“金額_税込” 列として追加して保存して」
この指示を出すと、Claude Code は次の流れで動きます。
- Excel を扱える Python ライブラリ(
openpyxlやpandasなど)を使うスクリプトを書く - そのスクリプトを実行する
- 元のファイルを書き換える、もしくは新しいファイルとして保存する
実質「Excel を編集してもらった」のと同じ結果になります。CSV ファイルも同じ仕組みで一括処理できます。プログラミングの知識がなくても、やりたいことを言葉で説明すればスクリプトの中身は Claude Code が考えてくれるのがポイントです。
できること④ 調べる・読み解く仕事
Claude Code は読解も得意です。
- コードの中身を説明する:「このファイル、何やってるの?」と聞けば、中を読んで日本語で答えてくれる
- エラーの原因を調べる:エラーメッセージを見せれば、原因の見当を付けて修正案まで出す
- Web 上の情報を取得する:URL を渡すと、その内容を取得して解説する
知らない人が書いたコードを読み解く時間が大幅に減ります。私が最初に Claude Code を「これは便利だ」と確信したのは、初めて触る他人のコードを開いて「全体像をざっくり教えて」と頼んだときでした。15分かかる予定だった理解作業が、3分で終わりました。
できること⑤ ゼロから作る仕事(ただし条件付き)
新しいファイルを一から作ることもできます。
- 「お問い合わせフォームの HTML を作って」
- 「Astro でブログのトップページを作って」
- 「指定したフォーマットの請求書テンプレートを作って」
ただしここには大事な条件があります。「何を・どう作るか」を言葉で説明できることが必要です。漠然と「いい感じのページを作って」とだけ伝えると、結果も漠然としたものになります。逆に、構成・項目・見た目の方向性まで言葉にできていれば、最初のたたき台が驚くほど早く出来上がります。
実例で見る:どんな業務に使えるか
ここまで「得意な仕事」を抽象的に整理してきましたが、実際のオフィス業務や Web 制作の現場ではもっと具体的にどんな使い方ができるのか。代表的な例をジャンル別に並べます。自分の業務に当てはまるものがないか探しながら読んでみてください。
ビジネス書類・資料の整理
- 議事録の整形:荒く書き留めたメモを、「誰が・いつ・何を決めたか」を整理した形に書き直す
- 報告書の表記ゆれ統一:「サーバ」と「サーバー」、「お客様」と「お客さま」のような揺れを片方に揃える
- 配布資料の一括リネーム:
提案資料.pdfのような名前を2026-04-15_A社_提案書_v2.pdfの形式に一括変換する - 複数 PDF の要約:PDF を読み込んで、各ファイルの要点を一覧にまとめる(Claude Code は PDF の読み取りに対応しています)
- メール定型文の量産:差し込みデータの一覧を渡して、宛先ごとにカスタマイズした下書きを作らせる
データ集計・整理
- Excel の特定列を加工して別ファイル化:「
売上.xlsxの “顧客名” 列だけ抜き出して新しいファイルに保存」 - CSV の重複削除と名寄せ:メールアドレスをキーに重複行をまとめる
- アンケート自由記述の分類:回答を「ポジティブ/ネガティブ/中立」のような軸で分類した CSV に整形する
- ログファイルからのエラー抽出:大量のログから
ERRORを含む行だけを抜き出してまとめる - 請求一覧 Excel の月次集計:取引先ごとに合計額を計算して別シートに転記する
これらはすべて、前の章で説明した「Python スクリプトを書いて実行する」仕組みで動きます。やりたいことを言葉で伝えるだけで、必要なスクリプトは Claude Code が用意してくれます。
ドキュメント・原稿の整理
- Markdown 記事の見出し階層の統一:複数記事の見出しレベルが揃っていないのを一括で修正
- 記事内のリンク切れチェック:原稿に貼った URL を順に確認して、切れているものを一覧化
- 旧サービス名から新サービス名への置換:マニュアル全体を横断して名称を更新する
- 長文ドキュメントの目次生成:章立てを読み取って目次を自動で組み立てる
Web 制作の現場で
ここから先は Web 制作に関わる方向けの具体例です。コーディング・運用フェーズの両方で活躍します。
- 共通パーツの一斉差し替え:50 ページの HTML のフッターを新仕様に書き換える
- CSS の整理:使われていない class や CSS 変数を一覧化して削除する
- 画像の一括変換:指定フォルダの画像を縮小して
webp形式に変換するスクリプトを書いて実行する - LP の複製と差し替え:1つの LP テンプレートをベースに、案件ごとのテキスト・画像差し替え版を量産する
- メタディスクリプションの一括生成:各ページの本文を読み取って、SEO 用の説明文を自動で書き込む
- WordPress テーマファイルの編集:固定ページに条件分岐を追加する、ショートコードを設置する
- フォームのバリデーション実装:「メールアドレスが空欄なら送信できない」のようなチェック処理を書く
- 競合サイトの構成調査:複数の競合 LP の見出し階層を取得して比較表にまとめる
- 古い記事の URL リダイレクト設定:旧 URL と新 URL の対応リストから、リダイレクト設定ファイルを生成する
私が普段の Web 制作で一番恩恵を感じているのは、**「やればできるけど、地味で時間がかかる作業」**の部分です。例えば10ページ規模のコーポレートサイトで、全ページの問い合わせボタンの位置と文言を一斉に変える作業。手作業なら30分かかるところが、Claude Code に頼めば1分で終わって、しかも見落としがない。こうした地味な時短が積み重なって、結果として案件全体の納期短縮につながります。
共通する条件
これら全部に共通するのは、**「文字でやり取りできて、結果を自分で確認できる仕事」**という条件です。今ご自身の業務を振り返って、その条件に当てはまる作業があれば、それは Claude Code に任せられる候補です。
できないこと① 見た目の良し悪しの判断
ここからは苦手な領域です。
Claude Code はコードや設定値を論理的に整えることは得意ですが、出来上がったデザインが「カッコいいか」「客の心に刺さるか」を判断するのは不得意です。
例えば「もっとオシャレなレイアウトにして」と頼んでも、その「オシャレ」が何を意味するのかは Claude Code には伝わりません。美的判断の責任は、最終的に人間側に残ります。Claude Code を使うときも、デザインの方向性を決めて言葉にするのは自分の役目です。
できないこと② マウス操作が必要な仕事
Claude Code はターミナル経由で動くので、画面上のボタンをマウスでクリックするような操作は基本的にできません。
苦手な例:
- ブラウザで会員登録フォームを埋めて送信する
- Photoshop / Illustrator のレイヤーを直接編集する
- Excel の画面を開いてセルを目で見ながら手動修正する
- Zoom 会議の参加・録画
「文字でやり取りできない仕事」と覚えておくと境界がわかりやすいです。これらの仕事は別のツール(自動化スクリプトや専用アプリ)の領域になります。
できないこと③ 暗黙の要望をくみ取る仕事
「いつもの感じでお願いします」「あの件、よろしく」のような、前提知識やこれまでの経緯を共有していないと成立しない依頼は苦手です。
Claude Code は依頼された言葉と、見えるファイルの中身しか手がかりがありません。社内の暗黙ルール、過去のやり取り、関係者の好みといった情報は、こちら側がきちんと言葉で渡してあげる必要があります。
これは弱点というより、「正確に言葉にしないと動けない相棒」だと考えるのが現実的です。逆にそのルールを徹底すれば、人間以上に正確に仕事を進めてくれます。
できないこと④ 何を作るべきかをゼロから決める仕事
「これからどんなサービスを作ろうか」「この事業のキーメッセージは何にしよう」といった戦略・コンセプトの根っこを決める仕事は、Claude Code に丸投げしてはいけない領域です。
意見出しの相手としては優秀ですが、最終的に何を選ぶかは、その仕事に責任を持つ人間の判断に委ねるのが原則です。Claude Code から出てくる案は、決断のための材料として使うのが正しい付き合い方です。
任せるか/自分でやるかの判断軸
ここまでを踏まえて、目の前の仕事を Claude Code に任せるかどうか迷ったときの判断軸を3つにまとめます。
- 言葉で正確に指示できるか? ——できなければ、まず指示の言語化から始める。それが終わったら任せられる
- 結果を自分で確認できるか? ——確認できないものを丸投げすると、間違いに気づけない
- 任せて困らない情報か? ——機密データや、誤って他人に見せてはいけない情報は慎重に。Claude Code はクラウド経由で動くため、扱う情報は意識的に選ぶ必要があります
この3つすべてに「Yes」が出たら、迷わず任せてOKです。1つでも「No」があるなら、その部分を埋める作業を先にやってから任せる。これだけで失敗が大幅に減ります。
まとめ
Claude Code でできること/できないことを、もう一度ひとことで整理します。
- 得意:文字でやり取りできて、手順や結果が言葉で説明できる仕事
- 苦手:視覚的な判断・マウス操作・暗黙の要件・ゼロからの戦略決定
この境界線がわかると、Claude Code を「すごい万能AI」ではなく「正確に言葉にしたぶんだけ働いてくれる相棒」として捉えられるようになります。万能ではない代わりに、得意な領域での仕事ぶりは別格です。
シリーズ次の記事「Claude Code と他のAIツールの違い」では、ChatGPT・Cursor・GitHub Copilot といった近いツールと Claude Code がどう違うのかを整理します。「結局どれを使えばいいの?」という疑問に答える地図にしていきます。続けてご覧いただくと、自分の仕事に合うツール選びまで一気に進められるはずです。
WordPressを実際に動かしてきたサーバー:ロリポップ
Claude Code でWordPressサイトを組み立てるとき、最初に置く先として無理のないレンタルサーバー。月数百円から始められ、WordPressの自動インストールにも対応しています。設定で詰まりがちな初期段階の時間をかなり減らせます。