マギのクロゼミ
応用 #Claude#MCP 公開 2026.04.26

MCP とは何か。Claude を外の世界に接続する共通規格

MCP(Model Context Protocol)は、Claude のような AI を「外のサービス」に繋ぐための共通規格です。Drive を読ませたい、Gmail を操作させたい、社内 DB に問い合わせさせたい——そういう「外部接続」を、毎回の独自実装ではなく、共通の規格で実現するためのプロトコルです。USB-C やプリンタドライバの考え方と重ね合わせると、その狙いが一気に腑に落ちます。

はじめに

ここから Step 3 のもう一つの大きな柱、MCP の話に入ります。MCP は Model Context Protocol の略で、ひと言でいうと 「AI と外部ツールをつなぐための共通プロトコル」 です。

「プロトコル」と聞くと身構える方が多いかもしれません。でも、実は身近な例がたくさんあります。

  • USB-C:どのメーカーのパソコンも、USB-C ケーブル1本で外部機器に繋がる
  • HTTP:どんなブラウザも、http:// で始まる URL を同じ手順でリクエストできる
  • プリンタドライバ:印刷したいソフトは、共通の印刷インターフェイスにファイルを渡すだけで、あとはドライバが各メーカーのプリンタに合わせて変換してくれる

MCP がやろうとしているのは、これと同じことです。「AI に外のサービスを操作させたいときに、毎回バラバラの繋ぎ方を覚えなくて済むよう、共通の規格を1つ作っておく」——そのための規格が MCP です。

本記事では、

  1. MCP とは何か(仕組みと位置づけ)
  2. なぜ必要だったか
  3. サーバーとクライアントの関係
  4. 何ができるようになるか
  5. Anthropic 以外も採用していること
  6. セキュリティの基本

の順で、概念をいちから整理していきます。MCP シリーズは全3本構成で、本記事の概念編に続いて、

と進みます。

MCP が解決している問題

Claude Code を使い込むと、「Claude に手元のパソコンの中だけじゃなく、外のサービスも操作させたい」 と思う場面が必ず出てきます。

たとえば、

  • Google Drive にあるドキュメントを読ませて要約させたい
  • Gmail の特定のメールを検索して返信案を作らせたい
  • GitHub の Issues を作らせたい
  • Slack に通知を送らせたい
  • 社内のデータベース に問い合わせて結果を集計させたい

これらは、Claude Code の基本機能(ファイル読み書きとシェル実行)だけでは足りません。外部のサービスごとに、認証・API 呼び出し・結果の整形 という別の仕事が必要になるからです。

ここで MCP が登場する前の世界を想像してみてください。各 AI ツールが、

  • ChatGPT 用の Drive 連携
  • Claude 用の Drive 連携
  • Cursor 用の Drive 連携

——というふうに、同じ Drive 連携を AI ごとに別々に実装 することになります。これは Drive 側にも AI 側にも余計な負担で、新しい AI が出るたびに連携が一からやり直しになります。

MCP は、この問題を 「AI 側と外部サービス側のあいだに共通プロトコルを1つ挟む」 という発想で解いています。Drive 側は「MCP に対応したサーバー」を1つ用意すれば、それを Claude も ChatGPT も Cursor も 同じ手順で使えるようになる——という構造です。

サーバーとクライアントの2役

MCP には 2つの役 が登場します。難しい話ではないので、まず役の対応を押さえてしまいます。

担当
MCP サーバー外部サービスとやり取りする側Drive 用サーバー、Gmail 用サーバー、社内 DB 用サーバー
MCP クライアントAI 側でサーバーを呼ぶ側Claude Code、Claude Desktop、その他の MCP 対応 AI
  • MCP サーバー は「Drive を読みたいなら、こういうリクエストを投げてくれれば、こう返します」というインターフェイスを公開している側
  • MCP クライアント は AI(Claude Code)の側にいて、「Drive を読みたい」と判断したときに MCP サーバーへリクエストを投げる側

WordPress に例えるなら、

  • MCP サーバー = プラグイン本体:実際の処理を担当
  • MCP クライアント = WordPress 本体:プラグインを呼び出す側

という対応関係に近いです。WordPress 本体(クライアント)は個々のプラグイン(サーバー)の内部を知らなくても、決まったフックさえ知っていれば呼び出せる——MCP もそれと同じ思想です。

サーバーの「中身」は3種類

MCP サーバーは、AI に対して 3種類の機能 を提供できる仕組みになっています。

種類役割
Tools(ツール)AI が「実行する」操作Drive のファイル一覧を取得、Issue を作成、メールを送信
Resources(リソース)AI が「読む」コンテンツ特定のドキュメント、データベースの行
Prompts(プロンプト)AI に渡す決まったプロンプトテンプレート「この形式でレポートを作って」

このうち Tools が圧倒的に主役 です。Claude Code から見れば、MCP サーバーが提供する Tools は、「自分が呼べる新しい関数」が増えたのと同じ感覚で扱えます。

たとえば Drive 用 MCP サーバーが list_files という Tool を公開していれば、Claude は会話の中でこの list_files を「自分が呼び出せる手段の1つ」として認識します。「Drive のファイル一覧を見せて」と頼むと、Claude が自動的に list_files を呼び出してくれる、という流れです。

Claude Code 側での見え方

MCP サーバーが Claude Code に接続されると、その Tools は mcp__<サーバー名>__<ツール名> という名前で内部的に扱われるようになります。

mcp__google_drive__list_files
mcp__google_drive__read_file
mcp__github__create_issue
mcp__slack__send_message

普段の使い方では、この命名を意識する必要はほとんどありません。「Drive のファイル一覧を見せて」と頼むだけで Claude が裏で mcp__google_drive__list_files を呼んでくれます。「Claude の手数が増えた」だけ で、表面的な使い心地は何も変わりません。

ただ、/help や設定ファイルを覗いたときに、見慣れない mcp__ で始まる名前が並んでいる のを見ることがあります。そのときは「ああ、これは MCP サーバー由来の機能なんだな」と気づけると、ひとつ視界がクリアになります。

何ができるようになるか

MCP を理解するには、実際にどんなサーバーがあるか を眺めるのがいちばん手っ取り早いです。代表的なものを紹介します。

サーバーできること配布元
Filesystem指定したフォルダのファイル読み書きAnthropic 公式
GitHubリポジトリ操作、Issue/PR の取得・作成Anthropic 公式
Google DriveDrive 上のドキュメント一覧・読み込み有志・公式どちらも
Gmailメール検索・読み込み・下書き作成有志
Google Calendar予定の取得・追加有志
Slackチャンネル一覧、メッセージ送信Anthropic 公式
Postgres / MySQLデータベースへのクエリ実行Anthropic 公式
Puppeteerブラウザ操作(スクレイピング、PDF生成)Anthropic 公式

これは一例で、実際にはコミュニティから日々新しい MCP サーバーが公開されています。「自分が使っている SaaS の操作を AI に任せたい」と思ったら、まず MCP サーバーが既にあるか調べる ——というのが、いまの定石になりつつあります。

Anthropic 以外も採用している

MCP の重要な特徴のひとつが、Anthropic 以外の AI ベンダーも採用している ことです。

MCP は Anthropic が 2024 年末に オープンプロトコル として公開した規格で、その時点で「特定のメーカーに縛られない共通規格」として設計されています。実際に、

  • Claude(Anthropic)
  • 一部の OpenAI 系ツール
  • Cursor
  • その他の AI エディタ・エージェント

が MCP に対応しています。これは 「いま MCP サーバーを書いておけば、将来別の AI に乗り換えても無駄にならない」 という資産形成の意味でも大事なポイントです。HTTP のような共通プロトコルが「特定のブラウザに縛られない Web」を作ったのと、似た立ち位置を狙っています。

サーバーの動かし方は2種類

MCP サーバーには、動かし方の系統が2つ あります。これは使うときに知っておくと、認証フローの違いが理解しやすくなります。

系統 A:ローカル(STDIO 系)

サーバー本体を 自分のパソコンの中で起動 して、Claude Code と直接プロセス間通信する方式です。

利点欠点
認証が単純(必要なら API キーを設定ファイルに書く)サーバー自体を自分でインストール・起動する必要がある
通信は手元のマシン内で完結し、外に漏れないサーバーの管理(更新・停止)も自分の責任

Filesystem や Postgres など、手元のリソースを扱うサーバー はだいたいこの方式です。

系統 B:リモート(HTTP / SSE 系)

サーバー本体は 遠隔のサーバーで動いていて、Claude Code とは HTTP(または SSE)で繋ぐ方式です。

利点欠点
サーバー側の管理は提供者が見てくれるOAuth などの認証フローが必要
自分の手元にサーバーをインストールしなくていい通信は外部に出る(その分セキュリティ意識が必要)

Google Drive や Gmail のように、外部サービスとやり取りするサーバー は OAuth 認証が必要なので、こちらの方式が多いです。

実際に MCP サーバーを使うときは、「このサーバーはどっちの系統か」 を最初に把握すると、認証の手順がイメージしやすくなります。

セキュリティの基本

MCP は便利ですが、「Claude に外部サービスへのアクセス権を渡す」 ことを意味します。セキュリティ意識は欠かせません。

押さえておきたい3点

観点何に気をつけるか
権限スコープ「読むだけ」のサーバーと「書き換えられる」サーバーを区別する。書き換え系は本当に必要なときだけ繋ぐ
発行元サーバーの作者が信頼できる先か。GitHub のスター数や、リリースの活発さで判断
認証情報の保管API キーやトークンは設定ファイルに平文で残ることがある。共有 PC では特に注意

WordPress プラグインを入れるときに「このプラグインは何ができるのか」を確認するのと同じ感覚で、MCP サーバーの「この権限で何ができるか」 を確認する習慣を持つと、事故が起きにくくなります。

Claude による確認の経路を残す

Claude Code は標準で、MCP サーバーの Tools を呼ぶときに「実行していいですか?」という確認 を入れる挙動になっています(モードによる)。これは命綱なので、Bypass Permissions モードで MCP を使うのは推奨しません。少なくとも初めて繋いだサーバーでは、確認の経路を残しておくのが安全です。

MCP との関わり方

MCP との関わり方は、Plugins と同じく2種類に分かれます。

関わり方必要なこと始めどき
使う(既製サーバーを繋ぐ)claude mcp add で1コマンド興味のある外部サービスを操作させたくなったとき
作る(自作サーバーを書く)TypeScript / Python の SDK を使ってサーバーを実装既製サーバーがない外部サービスを操作したくなったとき

Plugins と同じく、最初は 「使う」側 で十分です。次の記事「MCP サーバーを使う」で、Filesystem・GitHub・Drive を例に、実際に繋ぐ手順を扱います。

まとめ

MCP の要点を整理します。

  1. MCP は「AI と外部ツールをつなぐ共通プロトコル」:USB-C やプリンタドライバと同じ立ち位置
  2. 2024 年末に Anthropic が公開:他社 AI も採用するオープン規格
  3. 2つの役:MCP サーバー(外部サービス側)と MCP クライアント(AI 側)
  4. サーバーが提供するのは Tools / Resources / Prompts:主役は Tools
  5. Claude Code 内では mcp__<サーバー名>__<ツール名> で扱われる
  6. 代表的なサーバー:Filesystem / GitHub / Drive / Gmail / Slack / Postgres / Puppeteer など多数
  7. 動かし方は2系統:ローカル(STDIO)/リモート(HTTP・OAuth)
  8. セキュリティ:権限スコープ・発行元・認証情報の3点で判断
  9. 最初は「使う」側で十分:自作は既製サーバーがない場合の選択肢

MCP の概念がつかめたら、次の記事「MCP サーバーを使う」で、Filesystem・GitHub・Google Drive の3つを例に、実際に Claude Code に繋ぐ手順を見ていきます。claude mcp add というコマンド1つで、新しい外部サービスが Claude の手の届く範囲に入ってくる——その体験は、MCP の便利さを最初に実感できる瞬間です。

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